Hello! SOEJIMAです。
今回は『UNDERTALE』の開発者Toby Fox(トビー・フォックス)さんにいろいろと聞いてみました!
ゲームと同様にとてもユーモアのある回答がいっぱいです。なお、前編はネタバレもなくゆる~くトビーさんの人柄を紹介させていただきます。
そして後編は『UNDERTALE』の開発について踏み込んで聞かせていただきました。ネタバレも少し含んでしまうので、何も知らないままプレイしたい人は、後編はプレイ後に読んでくださいね。
Toby Fox(トビー・フォックス):
『UNDERTALE』の開発者。ストーリーはもちろん、ゲームシステムやキャラクターのデザイン、そして音楽なども全てほぼ一人で開発。アメリカ在住。
トビーさんにいろいろと聞いてみた
こんにちはトビーさん、まずはNintendo Switch版『UNDERTALE』発売の感想をお願いします!
ついに任天堂のゲーム機で僕のゲームが発売されるなんて、本当にうれしいです。僕はスーパーファミコンに育てられたも同然なので。ほら、「オオカミに育てられた人」とか、聞いたことありますよね? あれと一緒です。大自然の中、僕とマリオの2人きり。月に向かって遠吠えしてました。素っ裸で。
(な、なんて独特な表現なんだろう!)
さて、今日はトビーさんに、ご自身や『UNDERTALE』に関することを聞かせていただきたいです。まず、トビーさんは『UNDERTALE』を開発する前はどんなことをされていたのでしょうか?
学生でした。『UNDERTALE』の開発を始めたときも、ですね。
確か楽曲の制作などもされてたのですよね。「Homestuck」というウェブコミックの作曲家をされていたという記事を拝見しました。
はい、そうです。「Homestuck」は、Andrew Hussieという超天才クリエイターが制作したウェブコミックで、アニメーションになっているシーンもあるんです。そういうアニメシーン2~3点のBGMを作曲しました。
残念ながら公式の日本語版はないんですが、最初の何章かは有志による翻訳があるので、興味のある方は読んでみてください(有志の翻訳版では、いまのところ僕のBGMは流れないんですけどね……)。
その後『UNDERTALE』を開発するきっかけはなんだったのでしょうか?
ウィキペディアで「おまかせ表示」をクリックしたら、「配列」に関する記事が出てきたんです。要は、プログラミングの変数のリストですね。そういうものが存在すると知ったとき、「これを使ってテキストシステムみたいなものが作れるかも」と思いついたんです。そのシステムが完成したあと、ゲームを作りはじめました。だから、きっかけは「ほんの気まぐれ」ですね。
それまではプログラミングの経験は無かったのでしょうか?
父がプログラミング経験者だったので、プログラミング関係の本を読んで、BASICを少しだけ勉強しました。それから、「RPGツクール2000」を使っていたので、基本的なRPGの仕組みは知っていました。でも、本格的なプログラミングができるほどのスキルは持っていませんでした……。
すごい! そこから個人でここまで作り上げられたんですね……。
ゲームの内容にも、ネタバレにならない範囲で、少しだけ触れさせてください。僕は、前回の記事でちょっぴり紹介した「こうどう」「みのがす」コマンドがとても面白いと思いました。このシステムを採用したきっかけはなんだったのでしょう?
『真・女神転生』の影響です。『真・女神転生』は少しだけプレイしたんですが、敵と話せるシステムがすごくいいなと思って、それをメインにしたゲームを作りたいと思ったんです。
以前トビーさんのインタビューを読んだ際に、「決意」が本作のテーマの1つと話されていて、このコマンドが大きな役割を持っているんですよね。
あー……たしかに、そんなことを言ったような気もしますが、インタビューでは気まぐれでいろんなふうに答えるものですから……。テーマは「決意:ケツイ」だとも言えるかもしれませんが、「モンスターたちと仲よくして、涙をこらえること」とも言えるかもしれませんね……。
ほかにもトビーさんは日本のゲームから影響を受けたとおっしゃっていますね。『MOTHER』や『真・女神転生』はもちろん、『マリオ&ルイージRPG』や『東方Project』などが戦闘システムに影響しているようです。戦闘では、敵の攻撃をよけたり、弾幕をかわしたり。
はい、好きなゲームすべてから影響を受けています。ほかにも1つ例を挙げるなら、「メタルギアソリッド」シリーズとか。シリーズを通して、定石をくつがえすような独特の仕掛けがあるところが、すごく好きなんです。「ルールに従う必要はない。むしろ、従わないほうがおもしろい」とか、「ゲームデザインもストーリーの一部になりうる」とか、そんなメッセージが感じられて。だから、この場をお借りして、小島秀夫さんに感謝の気持ちを伝えたいです。小島さんはたぶん、この記事読んでないと思いますけど。
トビーさん今なんのゲームしてるの?
ほかにもゲームについてまだまだ聞きたいことはあるのですが、それは後編にとっておくとして……。
そういえば今日は、トビーさん私物のNintendo Switchを持ってきてもらいました。今どんなゲームをプレイされていますか?
今回日本に向かう飛行機の中で『Celeste』をクリアしましたよ。とてもていねいに作り込まれた2Dプラットフォームゲームで、難易度が高めのゲームに少しでも興味がある人には、かなりおすすめです。
『Celeste』のディレクターは、何年も前にGameMakerのコミュニティに参加していた人で、彼が最初に発表したのが『Jumper』というプラットフォームゲームだったんですが、子供の頃にそれをプレイして、すごく気に入ったんです。
『Celeste』は、『Jumper』のクリエイター(Matt Makes Gamesマットさん)が長年かけて培った、1ルーム型高難易度プラットフォームゲーム制作のノウハウの結晶、という感じがしますね。こんなゲーム、彼以外にはとても作れなかったと思いますし……あ、すみません、ちょっと宣伝しすぎですか? だって、いいゲームだったんですもん! 日本でも発売されてますよね?
はい、日本でも発売されていますし、過去の「Hello! インディー」コーナーでも取り上げています。そう『Celeste』もいいゲームですよね。
トビーさん京都に来る
今回京都に来られて、いかがでしょうか?
楽しかったです。京都に来るといつも、『がんばれゴエモン ネオ桃山幕府のおどり』を思い出すんですよね。(的外れなことを言っていたら、すみません!)町の建物の多くが、伝統的な日本家屋風の造りになっているからなんですけど(マクドナルドの店舗の屋根まで、日本家屋っぽかったり……) 、歩いていると、頭の中でずっと、『がんばれゴエモン』のBGMが流れるんですよ。特に、町の音楽。僕にとっての京都は、そんな町です。
京都府外では、奈良へ行って、少しだけシカを見ましたよ。かなり雨が降っていたので、すぐに帰らなきゃいけなかったんですけど、シカが普通に道路を横断して、ぜんぜん関係なさそうなオフィスビルの前で草を食べていたりするので驚きました。あのビルに入っている会社は、オフィスの前に生えている草のおいしさが自慢だったりするんでしょうか。そんなにおいしいなら、僕も今度行ったときに食べてみようかな(笑)。
今回はあまり京都の料理をいろいろ食べられなかったんですが、友だちから「ポチの家」という和菓子をもらいました。家のような箱に入った、イヌのおまんじゅうなんですけど、衝撃のかわいさでした。ドアを開けると、中でイヌがニコニコしてるんですよ。僕もあんな家に住みたい。おなかにあんこを詰めてゴロゴロしていられるなんて、最高じゃないですか。
これですか! 確かに、衝撃的にかわいい・・・!!!
あと、任天堂のオフィス内のいろんな部分が同じ造りで、ちょっとダンジョンとか迷路みたいだと思いました。ビルのどこかにミノタウルスを配置したらどうでしょうか!……風水的にどうなのかは、わからないですけど。
ありがとうございます、ミノタウルスどこらへんに配置しましょうかね……。ちなみに任天堂の建物は真っ白で病院みたいだ、とよく言われています。
それならもういっそ、医療設備とかも配置したらいいんじゃないでしょうか。受診料がそんなに高くなければ、僕はよろこんでドクターマリオの実験台になります!
Nintendo Switch版『UNDERTALE』の追加要素?
そろそろ前編の最後になるのですが、Nintendo Switch版での追加要素について、言える範囲で教えてもらえますか?
発売前に期待させすぎてしまって、ガッカリさせるのは不本意なので、ひとつだけ……。まず、Nintendo Switch版では、「イヌじんじゃ」にお賽銭はあげられなくなります。あ……これじゃマイナスの話になっちゃうか……。とにかく、ホットランド到着後に「イヌじんじゃ」に戻ると、いいものが見つかると思います、ミュウミュウ~。
トビーさんありがとうございます! 前編はここまでとなります。
次回はもう少し『UNDERTALE』の開発について踏み込んで聞いてみたいと思います。開発中にボツになった細かいアイデア、『UNDERTALE』が大きく方向転換したお話など……また是非次回もお楽しみに!
それではみなさん、よいインディーライフを!
UNDERTALE ©Toby Fox 2015-2018. All rights reserved.