主人公に襲い来る無数のモンスターを倒し、30分間生き残ることが目的の『Vampire Survivors』。
なぜ1回のプレイを30分にしたのか? 本作のクリエイターである「Luca(ルカ)」さんにいろいろとお伺いしました。
ゲームシステムを超シンプルにした意外な理由
Luca Galanteさんのプロフィール
イギリス在住のゲーム開発者。本作のデザイナー兼プログラマー。過去にオンラインカジノゲームの開発に関わった経験がある。
Lucaさんこんにちは。
さっそくですが『Vampire Survivors』が世界的に遊ばれた理由は何だとお考えですか?
自分でも未だに理由がわからなくて、こちらが教えてほしいぐらいなんです(笑)。とはいえ、本作はリリース前から多くのプレイヤーに支持されて、いただいた肯定的な意見から推測すると、今の成功は多くのことが積み重なった結果なのかもしれません。たとえば、PC版の完成前に一部のユーザーにお試しプレイをしてもらったのですが、その際に約束したことを守ったり、コンテンツを定期的に配信したり、ユーザーの声を真摯に受け止めたり……といった感じですね。私はゲーム開発においてどんな決定をくだすときも、ユーザーの体験を重視していますが、そうしたことが重要だったのでしょう。そして、ゲームプレイを配信してくれたみなさんのおかげで本作の知名度が大きく上がり、そこからユーザーの口コミでゲームの評判が広まっていったこともその理由と考えています。
確かにユーザー主導で広まっていった印象はありますね。本作は操作がシンプルなことも魅力のひとつですが、ここまで簡略化したのはなぜですか?
端的に言うと、非常に簡単に開発ができるからという理由です。というのも、自分の好きなコンテンツ制作(キャラクター制作など)に多くの時間を費やしたかったので、まずは簡単に完成させられるゲームの土台が欲しかったのです。 そのため、シンプルさを極めたゲームシステムを考えました。
1回のゲームプレイ時間が短いのはなぜ?
確かに操作を主人公の移動だけに特化してあるのは、シンプルさの極みですね。では、ゲームのプレイ時間を“開始から死神が登場するまでの約30分”と決めた理由は何でしょうか?
本作はステージごとにていねいにゲームデザインをしていたつもりなのですが、ある日プレイしてから20分が経過したところで飽きてしまったんですよ!
そんなきっかけだったとは(笑)。
なので、開始から25分が経過すると出現するボスとの戦いをもって、ステージが終了するようにしました。実際にはボスを倒す時間も考慮して、合計のプレイ時間は約30分になっていますが、それが適切な長さだと思っています。たとえ30分間プレイしても、得られる実績や解除される要素があまり用意されていないのはそのためなんですね。もともとの終了目標は、25分が経過した時点で出現するボスを倒すことでしたから。
20分で飽きたことの改善策が“飽きさせないようにすること”ではなく、死神を登場させて“ゲームを終わらせること”にしたのは大胆な方針転換ですね。これはゲームを何度も挑戦したくなるようにするためにも必要だったことなのでしょうか?
時間制限を加えたのは、ゲームにある種の中毒性を持たせることを意図したわけではなく、自然な形で終了地点を設けることで、プレイが常に新鮮になるようにしたかったんですね。何しろゲームを制作した当時は、まさか本作が何百時間もプレイされるゲームになるなんて思ってもいませんでしたし。
30分という制限は一見長いようでいて、展開によっては短く感じることもありますし、ちょうど良い長さだと思います。制限時間以外にも、プレイの新鮮さを保てるように工夫した点はありますか?
その点は私も知りたいことなんですよ! 私はこのゲームをすでに何千時間もプレイしていますが、今でも数分間のテストプレイのつもりがいつのまにか没頭し、それ以上の時間が経過していることがあるんです。
熱中するとよくありますね(笑)。
おそらくですが、毎回のプレイに新鮮さを感じるのは、アンロック要素があるおかげかと思います。1プレイを終えると新しいキャラクターやステージ、武器をアンロックすることが多く、それぞれ異なる挙動や特徴がありますよね。それがついつい「もう1個だけ確認したい」と思わせ、少しだけゲームを長く続けてしまうおもしろさを生んでいるのかなと。あとは、ある程度の驚きとランダム性もそれに貢献しているかもしれませんね。レベルのアップグレード、携行する武器、ステータスブーストのアルカナカードは、各プレイを異なるものにしてくれますし、たまに予想外のことが起きて臨機応変な対応が求められたりしますから。
宝箱の演出が派手なのは前職での経験から?
新鮮さを感じると言えば、宝箱を開けたときの派手な演出に加え、レベルアップが比較的連続して起こりやすいこと、そのたびに武器が選択できる点なども貢献しているのではないかと感じました。
じつは私は一時期、オンラインカジノゲームの制作会社で働いていました。私の仕事はカジノゲームそのものを開発していた訳ではなかったため、その経験を直接ゲームデザインにいかしたわけではないのですが、宝箱を開けたときのアニメーションの元ネタはカジノ業界からヒントを得たものですね。以前、“自分が勝っているときに、それにふさわしい音楽が流れるオンラインカジノゲーム”を制作したことがあって、私のお気に入りだったんです。
ところが、そこで流れるアニメーションには音楽ほどの満足感がなかったため、自分のゲームを作るときには、耳に残るメロディだけではなく、報酬を得たときのアニメーションも同じくらい満足感のあるものにしたいと思っていました。
協力プレイの実装とバランス取りの難しさ
過去のアップデートで4人協力プレイを採用しましたが、その際にゲームの難易度も変更したのでしょうか?
はい。ゲームを進めると難易度の上昇具合が1人プレイの時とは大きく異なってくるのがわかるかと思います。ゲーム開始時に武器を1つだけではなく、最大4つまで持てる点は大きなアドバンテージになりますが、その半面、各々が持てる武器の総数は限られています。ゲームバランスを取ることは、最初から最後まで明らかに課題になっていまして、一部の要素が原因で、当初の計画よりも調整が難しくなりました。そのためバランス取りの目標は、適切な難易度を見つけるよりも、プレイヤー同士の意思決定と相互作用がおもしろいものでありながら、ゲームが快適でちゃんと成立しているような状態にすることでしたね。じつのところ協力プレイの難易度を決定する大きな要素の1つは「友情のアミュレット」でした。これを使えばステージ攻略は簡単になりますが、それを使用するかどうかはプレイヤーが決めることですから。
個々のプレイヤーがどう戦うかでゲーム展開が変わりますからね。それでは最後にNintendo Switchで本作を楽しんでいるプレイヤーに、メッセージをお願いします。
とにかく「ありがとう」の気持ちを伝えたいです! 発売してしばらく売上ランキングのトップに立てたのは信じがたいことで、高い評価をいただけてとてもうれしく思います。本作にはこれからも力を注ぎ、トップに立たせてくれたプレイヤーのみなさんにぜひともお返しをしたいです。
それから意外だったのは、普段ゲームをプレイしない人を引き込んで一緒に本作をNintendo Switchで遊んでくれている人たちもいたことですね。これは思ってもみなかったことですが、またとないことだとも思います! 多くのプレイヤーのみなさんが私たちのゲームを架け橋に、家族や友達と趣味を共有してもらえるのなら光栄です。
Lucaさん、ありがとうございました。
ゲームオーバーになっても、つい「もう1回!」と何度も遊びたくなる『Vampire Survivors』ですが、その理由の一端がわかったような気がします。
最後に本作のキャラクターイラストをいくつか、Lucaさんのコメント付きでご紹介します。
無料アップデート「アドベンチャーモード」と有料追加コンテンツ「Emergency Meeting」の配信開始
また本日、「アドベンチャーモード」が追加される無料アップデートに加えて、あの『Among Us』とコラボレーションした有料追加コンテンツ「Emergency Meeting」が配信されました。
「アドベンチャーモード」では、固有の装備・キャラクターを使い、ミッションをクリアしていきます。これまであまり語られることがなかった、各キャラクターたちのストーリーにも迫ることができますよ。
「Emergency Meeting」では、新しく9体のキャラクターと15の武器が追加されます。『Among Us』に出てくるお馴染みのキャラクターが操作できることに加え、これまたお馴染みの「通報」「通気孔」などの要素やタスクは新しい武器として登場します。
まさかのコラボを楽しみたい方は、ぜひ追加コンテンツを購入してあそんでみてください。
それではみなさん、よいインディーライフを!
ニンテンドーSwitch
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