みなさん、こんにちは。
『Ever Oasis』 、プロデューサー兼ディレクターの株式会社グレッゾ石井浩一です。
第3回ではヴィストラーダの「世界」、特にオアシスの外の砂漠を中心にお話をしました。第4回は、主人公たちが暮らすオアシスについてお話しします。
砂漠の世界「ヴィストラーダ」は、かつて緑にあふれ、たくさんのオアシスがあり、人々の活気で満ちていました。しかし、それも過去の話。カオスの出現によって、砂漠の動物たちはカオスモンスターと化し、作物は育たなくなり、世界からはオアシスが減っていきました。今となっては、ほんのわずかなオアシスと、ケモビトたちの集落が残るのみとなっています。
では、オアシスや集落に住んでいない人々はどこで暮らしているか…というと、彼らは苛酷な砂漠を旅しています。昼は照りつける陽に耐えながら、焼けるような熱さの砂の上を歩き、夜は日中よりも強力で凶暴なカオスモンスターに見つからないよう、洞くつで息をひそめて眠りにつきます。
砂漠へと出歩くことは、それだけで危険に満ちています。それでも彼らが旅を続けるのは、長く、安心して暮らせる土地を探すためです。幸せに過ごせる土地がどこかにあることを信じて、砂漠を越え、洞くつを越え、山を越え、旅人たちは砂漠を旅します。カオスに負けないほど大きく、そして信頼できるナカマがいるオアシスを求めて。
新しいオアシスができたというウワサを聞けば、旅人たちは苦難にあいながらも危険な砂漠を越え、あなたのオアシスを訪れるでしょう。彼らがようやくの思いで辿りつくオアシス。その中について、私がみなさんをご案内いたします。
エントランス
砂漠からオアシスの中へと続く坂道の入り口には、大きな葉でできた門があります。オアシスの周囲は、ぐるっと植物でできた柵で囲われているため、オアシスを訪れた旅人は、この門からオアシスの中に入ってくることになります。
この門やオアシスを囲む柵は、大きなセージの葉でできていて、地中深くまで根がはられています。セージは、浄化や魔除けの力があるといわれます。このセージでできた門が、悪い気をしりぞける効果を持っており、オアシスの中にカオスが入ってくることを防いでいます。
門をくぐって坂をのぼると、正面に美しい大樹が飛び込んできます。
これは主人公の種から育った大樹であり、オアシスを守る力の源となっています。大樹には常に虹がかかっており、虹のかがやきがオアシス全体をおおって、セージの葉でできた門とともに、オアシスをカオスから守っています。
大樹にかかる虹は、自身の輝きによってできているため、たとえ夜であっても見ることができ、灯台のように夜闇を照らして、旅人たちをオアシスまで導いてくれます。
大樹の根元には綺麗な水で満ちた大きな泉が広がっており、オアシスの入り口から大樹へとのびる大通り沿いには、たくさんのハナミセが建ち並んでいるのが見渡せます。行き交う人々の明るい声は、つらい旅をしてきた旅人の気持ちをやわらげ、砂漠では貴重な食べ物の良い匂いが胃袋を刺激します。
噴水広場
オアシスに入ると、最初に訪れるのは噴水広場です。長らく砂漠で生活してきた旅人たちからすると、貴重な水がわきだしてたまっている、ということ自体がまるで奇跡のような光景に映るでしょう。
オアシスに入ると、水分を含んだ空気がかわいた体や心をうるおし、旅人たちは安堵や喜びの表情を見せます。しかし、噴水を見て、そこにある水をガブガブと飲み始めたり、砂だらけのかわいた体にかけたりということはしません。まずは、外からの汚れをオアシスに持ち込まないように、ウガイをしたり、手を洗って清めます。
砂漠を放浪していると、体の水分が失われるだけではなく、疲労によって心も弱ってかわいてきます。すると弱った心は、カオスに取り込まれやすくなってしまいます。そうならないためにも、この世界にとって、水は何よりも大事なものと言えます。オアシスは、かわききった体をうるおすだけではなく、心をうるおす場所でもあります。
この噴水には、旅人たちの感謝の気持ちとして、アクアジェムが投げ込まれています。少しでも長い期間、オアシスが維持されてほしいという気持ちもあるのかもしれません。
ちなみにオアシスの中は、大樹の周りにある泉だけでなく、地下水として水が循環しているので、外の砂漠と比べてもすずしく感じられ、力の集まるパワースポットになっています。オアシスが大きくなってくると、水面のきらめきが増え、光の精霊のウィスプたちも見えるようになります
噴水広場には、砂漠を渡り歩いて商売をする「行商人」たちが、テントを開いて店を構えています。彼らは、砂漠では貴重な植物の種や武器を売っていたり、アイテムの物々交換を行ってくれます。
行商人は、外界の砂の海を船で移動し、各種族の集落からオアシスに、各地の特産物を売り買いしながら生計を立てています。商売になる! と期待できるほどオアシスに人が集まれば、様々な地方の行商人たちが頻繁に訪れてオアシスに利益をもたらしてくれるでしょう。
大通り
噴水広場から道を進むと、オアシスの中で一番のにぎわいを見せる大通りに出ます。大通りには、大小色とりどりのハナミセが立ち並び、オアシスに住んでいるナカマや旅人たちが道を行き交っています。
こちらのコンセプトイラストは、私が最初にオアシスを考えたときに、どんな生活をしている人々を描きたいか、イメージしながら描いたものです。
Vol.1 で砂漠の世界のゲームを作りたいと思ったきっかけについてお話しさせていただきましたが、オアシスはまさに私が形にしたいと思った、砂漠の中で強く生きる人々を描く場所です。
彼らはつらい砂漠で生きてきた者同士だからこそ、自分さえよければいいという気持ちではなくお互いに協力し合い、助け合いながら、ささやかな幸福の時間や場所を守りたいという気持ちを持っています。オアシスでは、たとえ言葉にせずともそれがお互いの笑顔で確認しあえます。
外のかわきや怖さを忘れ、忘れかけていた笑顔や会話、人生を楽しめることの喜びを味わえる場所。それがあなたが作り、守り、育てるオアシスです。
さて、大通りに建っているハナミセの紹介へと進みたいところですが、続きは次回の第5回とさせていただきます。ハナミセの他にも、デコ草やアソビバナといったデコレーション、ハナミセで売られるシナモノなどいろんな要素がありますので、その辺りを中心にご紹介しつつ、栽培園や大樹の泉などもご案内していきます。
続きをお楽しみに!
では、また次回お会いしましょう。
4コマ:ヴィストラーダの日常③「アクアジェムのなぞ」
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