SOEJIMAです。今日ご紹介するのは『Thumper リズム・バイオレンスゲーム』です(ちなみにこの『Thumper』という単語は「サンパー」と呼びます)。
いわゆる音楽ゲーム(※)というジャンルなのですが、みなさんのイメージするものとはちょっと違うかもしれません。まずはこちらの動画をご覧ください。
※音楽ゲーム:音楽に合わせてプレイヤーがボタンを押したり、楽器を模したコントローラーを操作するゲームです。一般的に、プレイヤーのアクションが音楽のリズムと一致していれば得点が上がり、一致しなければ減点されます。「音ゲー」という呼称で親しまれていますね。
この疾走感と、斬新なビジュアルアート、そして激しいサウンド!そしてつるっつるで、堅そうな金属のビートル! 初めてプレイした時は、なんというか、まるで音と光に殴られているような、めまいにも似た感覚で、一気に引き込まれました。
なるほど、これがリズム・バイオレンスなのか、と。
ハイスピードがゆえ、少しの油断で即激突。音楽のリズム、光、ビートル、と全てに神経を研ぎ澄まし、深くこのゲームの世界に集中している自分に気が付きます。
いや、違う。むしろ、集中させられているんだ『Thumper』に。
ジェットコースターの先頭にくくりつけられているような逃げ場の無いスピード感と、瞬間的に求められ続けるリズムと光への反応。もう集中するしか、この世界から抜けだす方法は無い!
使うのは左スティックとAボタンのみとシンプルで、かつ無駄なUIが一切ないのも、この世界へ集中させてくれる大きな要因。そしてHD振動によるビートルのこすれる感覚が、この世界をリアルに感じさせてくれます。
集中せよ、そしてリズムと光に打ち勝て!
最初は簡単ですが、徐々に上がっていくスピードと難易度。「もう、反応が追い付かないって……」と弱音を吐きたくなるけど、なんとリトライまでの間すらハイスピードな『Thumper』。繰り返し挑んでいくうちに流れ(フレーズ)が体に染みついてきます。
そして、リズムと光と反応が一体となり、上手くステージクリアできたときの爽快感!
「あぁ、無事に集中しきれた、負けなかったよ、自分!」
と、バイオレンスなリズムと光に打ち勝った自分を褒めたくなります。
これが病みつきになっていきます。
これこそ、みなさんに味わってもらいたい『Thumper』ならではの体験なのです。
そして、集中するがゆえに残る疲労感。これも『Thumper』ならではの感覚です。休みは適度に取ってくださいね。
先にいっておきますと、終盤は本当に半端ないスピードです。「おいおい、ちょっと難しすぎないか『Thumper』!?」と突っ込みたくなりましたが、腕に覚えのある方は、自分の限界に挑戦してみてください。
さて、このゲーム、どんな人がどうやって作ったか気になりませんか……?
制作者に聞いてみよう
お待たせしました。今回は『Thumper』のデベロッパー「Drool」のMarc(マーク)さんに聞きました。
Drool:プログラマー兼デザイナーのマークさんと、ミュージシャンでベーシストのブライアンさんの2人で構成されている、2013年設立の会社。この『Thumper』が初のタイトルで、会社設立前からおよそ7年かけて開発したそうです。
マークさん、こんにちは! Droolのお2人は、それぞれ別々の分野で活動されているんですよね。
はい、私は現在韓国のソウルを拠点としていて、韓国のインディーコミュニティのサポートを行っています。毎年プサンで開催されるBusan Indie Connect(プサンインディーコネクト)というインディーイベントの運営もしています。
BitSummitのようなものですよね、一度行ってみたいです!
そして、ブライアンさんはバンドのベーシストなんですよね?
はい、ブライアンはアメリカを拠点とする「Lightning Bolt」というバンドのベーシストです。彼のバンドは日本でも数々の音楽フェスで演奏してきたんですよ。彼が『Thumper』の音楽を手掛けています。
バンドをしながらゲーム開発をしているというのは、あまり聞いたことがありませんでした! そして『Thumper』と同様に、「Lightning Bolt」の音楽もエッジが効いてますね……! しかもドラムとベースのデュオバンドなんですね! なんだろうこの強烈なグルーヴ!
音楽ゲームというジャンルで新しいことをしたい!
そんなお2人が『Thumper』を作るきっかけはなんだったのでしょうか?
私たち2人は、元々同じゲーム会社で働いていました。そこで音楽ゲームを中心に作っているうちに、このジャンルで新しいことをしたい!と思ったのがきっかけです。それを実現するために、ゲーム会社を辞め独立して『Thumper』の開発をはじめました。
なるほど!どのように新しい体験を作られたのでしょうか?
従来の音楽ゲームのように楽曲や譜面がありきではなくて、先にアクションの操作を考えることで新しい体験を目指しました。アクション部分は日本のゲームからも多く影響を受けており、例えばマリオカートのジャンプ&スライドのアクションが大好きで、ビートルのターン部分は影響を受けていますよ!
加えて、プレイヤーがより集中する状況を作ることに徹しました。プレイヤーにとって新しいフレーズを覚えるのはストレスがかかり、慣れたフレーズはストレスが無い。ほどよいストレス状態を維持することがプレイへの集中に繋がりました。
そして各ステージは大体15分から30分とあえて長めに確保し、クリアに深い集中力が必要であるように設計しました。ステージが短すぎると集中状態を構築し維持することが難しくなりますからね。
確かにこのゲームで感じた集中は、他のゲームよりも深いような気がしました。その分、爽快感が待っているんですよね。
それでは最後にメッセージをお願いします。
日本の素晴らしいゲームからも影響を受けてきたので、日本のみなさんに楽しんでもらえるのは特別な気分です!
ゲーム終盤のレベルはきっと驚かれるかと思います。全プレイヤーの5%しか最後までクリアできていないのです。でも最後が特に私のお気に入りなので、みなさんぜひ頑張ってください!
5%!? ……僕もまだ最後まではクリアできていないので、さらにもう少し頑張ってみます。
マークさん、ありがとうございました。
それではみなさん、よいインディーライフを!
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