本日、発売から3周年を迎えたNintendo Switch『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』。
今年の10月には最後のファイター「ソラ」が配信され、全ファイターが集結。
その全員参戦に至るまで、本作『スマブラSP』、そしてシリーズ前作となる『大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U』では、新ファイターの発表のたびに参戦ムービーを公開してきました。
今回、その参戦ムービーを、3周年の機会に合わせ、一挙掲載!
それぞれのムービーをディレクター桜井政博さんの解説コメント付きで紹介します。
ディレクターの桜井です。
『スマブラ』は、ほかでは見られないコラボをしている企画です。
なのでせっかくだから、シェアされたほうが面白い映像もサービスしよう、と考えて作りはじめたのが、各種参戦ムービーです。
ゲームを作りながら映像も手がけるのは大変でしたが、お客さんの反応がそれぞれ極めて大きかったので、チャレンジした甲斐がありました。
この記事では、私によるカンタンな解説もつけていきますので、振り返りをお楽しみください。
この機会に、新規参戦ファイターたちの初登場シーンをご覧になりながら「スマブラ」の歴史を振り返ってみてください。一度見たことのあるムービーも、よろしければ改めてどうぞ。
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大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U
初登場映像
2013年のE3で、『スマブラfor 3DS / Wii U』を発表しました。
厳密には参戦ムービーではありません。
が、新ファイターだったむらびと登場時、すっかりおなじみの「参戦!!」見出しがありますね。
制作はデジタル・メディア・ラボさん。
『スマブラfor』では、半数近くの参戦ムービーに携わっています。
ロックマン参戦!
正式にははじめての参戦ムービーとなります。
とは言え、発表は『スマブラfor』初登場映像と同じ日ですけれども。
最初にして、参戦ムービーの方向性は完璧に定まっていると思います!!
制作はデジタル・フロンティアさん。
以降、『スマブラSP』に至るまで、数多くの参戦ムービーを手がけていただきました。
Wii Fit トレーナー参戦!
これも『スマブラfor』発表とほぼ同じ日に公開です。
E3の会場ではサプライズとして流されました。
『Wii Fit』の新作……と思わせてちがう!! という原作主導の見せかたは、この後もしばしば用いることになります。
マリオが頭の上に手をやる表現に、割と困りました。
ほうき星の使者
レースつながりにして、『カービィのエアライド』vs『マリオカート』っぽくした参戦ムービーです。
場外乱闘っぽさがありますね。
ロゼッタの目の不思議な輝きなどは、『スマブラ』のゲーム中に行っている表現の延長線上にあります。
ロゼッタは宇宙の人であり、生まれや価値観が少し異なることをイメージしています。
リングの王者
趣向を変え、コミック調に表現してみました。
単純に予算削減のためでもあるのですが、テンポ感もよく、リトル・マックのストイックな印象も増し、よかったのではないかと思います。
最初の方に出るゲーム筐体は、オリジナルの『Punch-Out!!』をイメージしたもの。
昔から、任天堂には2画面のものが多いですね。
忍ぶもの
『スマブラX』ですでに登場していたリザードンと、新ファイターゲッコウガの同時公開。
最初のポケモンの山を、いかに表現するのかがポイントでした。
スピード感や躍動感が高いムービーですが、『スマブラ』の参戦ムービーは、とにかくスピーディに、密度高く展開することを心がけています。
ムービー制作側からは、「桜井さんの感覚は倍はやい」などとも言われました。
光の女神
『新・光神話 パルテナの鏡』のプロモーションにおいて、アニメムービーを何社かに作っていただいたのですが、パルテナ主役のムービーを作っていたシャフトさんに、改めてアニメでお願いしたものです。
ゲームパートは、原作がそうなのでよくしゃべります。
最後にブラックピットが登場するのですが、発表時にはファイターとして使えることを伏せていました。
赤、青、黄色
E3 2014のラウンドテーブル会場において、サプライズ的に発表した新ファイターがパックマンです。
これは普段のCGムービーではなく、おおむねバンダイナムコスタジオ、スマブラ制作チームによる内作を主体として作っています。
丸がピザ欠けになった瞬間に起こった生歓声は、忘れることができません。
剣と魔法と炎の紋章
ふと気がつきました。
私(桜井)はピンチの時に助けに来る展開が好きですね。
高いところから登場するのも、かなり好きです。
そんな好みの表現が詰まっているルフレの参戦ムービー。
制作は、『ファイアーエムブレム 覚醒』のゲーム内ムービーに合わせ、アニマさんにお願いしています。
穏やかじゃないですね
参戦ムービーの中、どこでファンが気づくのかについてはいつも慎重に考えるのですが、このムービーは、ファンなら始まった1カット目からガウル平原だと判るし、シュルク参戦だと解りますね。
それでよいと思ってそうしています。
未来視(ビジョン)、モナドアーツの切り替え、黒いフェイスなど、原作、本作のゲームに即したネタが多いのも特徴です。
未来の大王
基本的には、クッパJr.はかわいい(にくらしい?)系キャラクターですね。
だけど本参戦ムービーでは、しっかり悪役っぽく、また妙にカッコ良く仕掛けています。
最後に絶望感、激突感がある展開もよいと思います。
が、おかげでクッパ7人衆を全てCGでリファインする必要も生まれ、思ったよりもコストが高い映像になりました。
一匹、一羽と一丁と
最初の『ダックハント』のゲーム画面は、実機の映像ではなく改めて作ったものです。
ゲームパートの最初の方、曲とのかぶせによるテンポ感がよいですね。
映像内で出る光線銃は“ザッパー”と言い、海外のファミコンにあった光線銃。
ダックハントのスマッシュ攻撃は画面外から撃たれている設定だったのですが、ここで説明できてよかったー。
大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U 追加コンテンツ
ミュウツー参戦!!
ここから『スマブラfor』のDLCになりますが、DLCではCGムービーを作っておらず、すべてゲームパート+αでまとめています。
ミュウツーは、別の番組において制作することは発表されていたので、最初がシンプルなものになっています。
なお、ミュウツーは早期購入特典でもありました。
リュカ参戦!!
最初にネスがボコボコにやられ、それをリュカが助けに来る構成ですが、これは『スマブラX』における「亜空の使者」の逆をやってみようと思ってそうしています。
ボコボコシーンが多少長めですが、これは合わせるべき曲が長かったため。
曲との合わせかたについては、どのムービーも相当にこだわっています。
ロイ参戦!!
人気が高かったので、参戦を喜ばれた印象も高いロイ。
『スマブラDX』以来となりましたが、当時に比べ、体術を結構大きく変えています。
CGパートが無く、ほかの寸劇も無いので、ともすればボカボカ殴るだけの参戦ムービーになってしまうところ。
しかし結果的にはいろいろなネタが織り込まれ、良いものになったと思います。
リュウ参戦!!
知っている人には言うまでもないですが、最初の登場は『スーパーストリートファイターII X』のオープニングをイメージしています。
「俺より強いやつに会いに行く」というのは、元々『ストII』のCMのキャッチフレーズ。
リュウにも参戦にもイメージがピッタリなので、使わせていただきました。
ワザが多いですが、ムービーは原作らしく立ち回ることをより大事にしています。
クラウド参戦!!
クラウド参戦は、今思い返しても衝撃的でしたね。
珍しく冒頭演出に時間を割いて、原作オープニングを彷彿とさせる静かな展開にしました。
どのファイターと合わせてもニュース性のある映像になり、ステージなど仕込んだネタも多めだったので、ほかのDLCムービーより少し長めになっております。
カムイ参戦!!
原作のCGムービーをそのまま使わせていただきつつ、ネタを仕込みました。
背中向きのカムイ、運命の分岐点などは改めて作っています。
リョウマ、マークス、サクラ、エリーゼの声優さんを参戦ムービーのためにお呼びしたため、ゲームパート会話を豊富にできたのはなによりでした。
全体的に、ツッコミどころ満載です。
ベヨネッタ参戦!!
『スマブラfor』の最後を飾ったのは、ベヨネッタ。
原作がそうだったので、天使と魔女との対決を前面に押し出しています。
月と共に響くベヨネッタの声は、今見てもゾクッとするものが。
ピット、パルテナの声も改めて新録しています。
まだ「○○のつかいかた」が無い時代だったので、ワザの解説も含めてみました。
大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL
初登場映像
『スマブラSP』は、ここから始まりました!
Nintendo Directで発表されることを前提にしたムービーになっています。
おかげでインクリングの参戦ムービーは無いのですが、インクリングの目に映る十字に丸のスマブラマークは、すさまじい反響をもって迎えられました。
ここから1年も経たずに発売されるとは……!
狩猟の魔爪
『スマブラSP』参戦ムービー第一弾です。
最初にして、一番シリアスかも?
リドリーがロックマンやマリオを制圧する表現は、よりハードにしたかった。
しかしレギュレーションの問題などもありまして、海外を含めて何度も議論を重ねつつ、慎重に調整しました。
ヴァンパイア・キラー
ヴァンパイア・キラーとは、シモンとリヒターが持つムチのこと。
絵作りが全体的に凝っていて、ゲストキャラも多く、一瞬しか写らないドラキュラ城まで再現され、かなり贅沢な構成かと思います。
ピンチのシモンをリヒターが救いに来るけど、ピンチのルイージは間に合いませんでしたね……。
ライバルたち
キングクルールが高い参戦希望を受けていたのは判っていたので、「出る!!」→「いや、出ない!?」→「やっぱり出る!!」と、軽いゆさぶりをかける展開にしてみました。
デデデが出ていますが、他参戦ムービーも含め、他シリーズのファイターをなるべく混ぜ、コラボ感を出すようにしています。
はたらきものの夢
『どうぶつの森』の画面そのものなので、他ファイターのゲストはいませんが……。
原作画面を作るノウハウがチームにはないので、研究してそっくりCGで再現しています。制作はいつもと同じデジタル・フロンティアさん。
しぐさもカメラアングルも、質感なども含めてよく似せられていると思うのですが、いかがでしょうか?
炎の激突
リッチなダッシュファイターであるケンと、ガオガエンを混ぜてみました。
文字通り炎つながりです。
ダッシュファイター単体でCGムービーを作ることは難しいので、表現できてよかった。
リング上での戦いも、イメージにピッタリでした。
CGパートもゲームパートも、いい動きでしょう??
大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL 追加コンテンツ
パックンフラワー参戦!
パックンフラワーの参戦ムービーは、早期購入特典としての追加制作でした。
そのためCGパートは無し、ゲームパートのみで構成しています。
ファイターパスには含まれていませんので、別途ご購入を……。
当時、まさかの参戦と言われていましたね。
The Masked Rebel
これはジョーカーの参戦ムービーとしてまとめたもの。
実際の発表は、“心の怪盗団、オタカラをいただく”で行われました。
2018年のThe Game Awards会場に潜入したジョーカーが、スマブラの招待状を狙うというコンセプトで作ったもので、セリフは会場版とWeb公開版の2通りがあります。
アニメ部分の制作は『ペルソナ5』ゲーム内ムービーなども手がけられたドメリカさん。
伝説の勇者
バンジョー&カズーイと共に、2019年のE3で発表された”勇者”。
発売からある程度経ったので、ダーズなども姿を現しています。
なんと言っても、勇者のそろい踏みは熱いものがこみ上げますよね!!
このムービーは、『ドラゴンクエスト』の映画において一部の劇場の予告で流れたりもしました。
仲間たち
バンジョー&カズーイの参戦ムービーは、キングクルールの参戦ムービーをなぞり、いわゆる「てんどん」を狙った作品。
実は、コストダウンも考慮しています。
参戦ムービーって、数百円のDLCとしてはありえないほど費用がかかるのですよ!!
オチはもちろん、グランチルダ戦の最後をイメージしています。
100メガショック!
NEO-GEOに慣れ親しんだ人ならニヤリとせずにはいられない、テリーの参戦ムービー。
バンダイナムコスタジオ、スマブラ開発チームにおける内作です。
ドット絵は新たに書き起こされている部分が多いですが、ドットの感じや拡大縮小の方法などもNEO-GEOに寄せるというこだわりっぷりです。
風花雪撃
原作では、ベレスはそんなに笑わないキャラですが、ここでは高らかに笑ってもらうことにしました。
このムービーは、原作『ファイアーエムブレム 風花雪月』のスタッフが作られています。
アニメーションパートはサンジゲンさん。
セリフが出るゲームパートはコーエーテクモさん。
両社はほぼ1本の国道で行き来できるのですが、打ち合わせ時、渋滞に巻かれて大変でした……。
ラーメン大好き娘さん
キャプテン・ファルコンとカービィが出てくるのは、純粋に構成がハマりそうだったから。
リトル・マックの参戦ムービーに近く、イラストテイストで展開していますが、実際にはほぼCGだったりします。
画面効果も含め、よいメリハリが出ていると思いますね。
ミェンミェンが働く麺天飯食堂の設定も、しっかり確認しつつ作っています。
目を合わせてはいけません
公開時、Twitterが落ちてしまったのが印象的でした。
他のファイターと比べ、スティーブはあれこれやらせるのが合わないので、“間”を大事にしてシュールな印象に仕立て上げました。
スティーブもアレックスも大事という版元さんの意向もあったので、ゲームパートでは両者がまんべんなく出てくる構成にしています。
片翼の天使
『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』のインパクトは絶大でした。
セフィロスを参戦させるにあたり、そのインパクトに迫るべく、贅沢な構成にしています。
おかげでその反響は非常に高く、存分に楽しめるものになったと思います。
クラウドの追加ワザ、「超究武神覇斬ver.5」もお目見えとなりました。
ある日 ホムラがいなくなった
ホムラ / ヒカリの参戦ムービーCGパートは、唯一、私(桜井)がプロットを書いていません。
原作『ゼノブレイド2』のムービーパートの出来映えがよかったので、制作会社のモノリスソフトさんに構成も含めてお願いしました。
想定より長尺になりましたが、原作との融合性は高くて良かったですね。
鉄の拳
カズヤがやりそうなことの筆頭は、やっぱりガケから親を落とすことですよね!!
ゲームパートのボリュームが高くなりそうだったので、CGパートはシンプルかつストレートな構成を目指しています。
質感なども含め、原作の絵作りによく似ています。
ゲームパートは、最初の方のカットで『鉄拳』らしさを感じられるように調整を重ねています。
最後のカギ
最後の参戦ファイターなので、最初に戻りフィナーレを演出する構成なのですが、多くのファイターをCGで表現するのが大変過ぎる!!
その分、背景は真っ暗でシンプルですが、これが一番よいですね。
ゲームパートの出来映えもよく、締めくくりにふさわしい内容になりました。
実は2通りのプロットを書いたことは、どこかのインタビューで触れています。
桜井さんのコメントとともに振り返る参戦ムービーの数々、いかがでしたか?
これまで多くの新ファイターの参戦とともに歩みを進めてきた「スマブラ」シリーズ。
みなさんの応援あって、これだけの参戦やムービーの公開が実現しました。
全員が揃った「スマブラ」をこれからもぜひお楽しみください!
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