『ゼルダの伝説』のニュースや制作秘話をお届けします。
6.12
メインテーマ
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
こんにちは。音楽担当の片岡です。
今作は「世界が主役」と言っても過言ではないくらい、時に美しく繊細で、時に荒々しく厳しい自然が大きな魅力だと感じています。BGMでもそれらの魅力を最大限に引き出すサポートをしたいと思いました。
「メインテーマ」では、それに加えて、ハイラルで紡がれる長い歴史、そして今作のリンクとゼルダを表現することも目指して制作に臨みました。
使う楽器もいろいろ悩みました。
退廃的でありつつも多彩な世界観を表現するため、一般的なオーケストラではあまり使われない篠笛や二胡(にこ)などの民俗楽器を用いたり、対照的に古代文明のエッセンスとしてシンセサイザーの音を混ぜたり、クラシック音楽ではあまり良しとされなさそうなコード進行も部分的に含めたりしています。
篠笛
二胡
また、今作のリンクは一度瀕死になって記憶を失った状態から始まるので、音楽も同様に、「それまでの流れを一旦断ち切ってリンクの新しい“息吹”を作りたい」という思いがあり、何かが欠落したような、ある種不自然な印象になるよう、中盤で一瞬バッサリと音をカットしました。音が途切れる部分より前では過去のゼルダの内面、後では現代でのリンクの冒険を、それぞれ表現の一要素としています。
BGMは文字通りバックグラウンドで鳴るものなので、普段はこんな意図は気にせず、ゲームを楽しんでいただけることが何よりだと思っています。ですが、今回このような機会をいただきましたので、ほんの少し、BGMに込めた意味を紹介させていただきました。
これからも、ゲームも音楽も、一緒に長く楽しんでいただけたら嬉しいです。
片岡 真央
ミュージック
6.2
効果音ができるまで。
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
こんにちは。音響・効果音担当の疋野です。
今作は、耳からもゼルダの世界にどっぷりと入り込めるよう、効果音のひとつひとつを丁寧に作り込みました。ここでは、リンクの足音や装備のこすれ音をどのように作ったのか、ちょっとだけ紹介しますね。
まず、今回ご協力いただいたサウンドレーサー様と、効果音専用のスタジオで1万種類以上もの音を録音しました。
イイ具合の足音になるようにさまざまな種類の砂を配合したり、装備の音は素材の組み合わせや当てかたを探ったり、あれこれ工夫を重ねました。
氷の板は歩くたびに溶けたり割れたりするし、草を踏み続けるとスタジオに青臭い匂いが充満するし、いろいろな苦労がありました。
ちなみに、写真で気づいたかもしれませんが、実はリンクの足音は女性が演じているんです。
それから、リンクの動作や装備の種類によって録音した音を細かく鳴らし分けたり、音量を変化させて1音1音を馴染ませつつ、時折際立たせたりしました。
たとえば、こちらの足音。プレイしている時は特に意識されないかもしれませんが、改めて音だけを聴いていただくと「草原」と「雪原」それぞれの特徴があることがわかると思います。
このようにして、さまざまな表情を持つ効果音ができあがりました。
テレビのスピーカーで聴く音とヘッドフォンで聴く音、それぞれで味わいも変わるかもしれません。より世界にどっぷり浸れる好みの聴きかたで冒険してみてください。
疋野 光啓
サウンドデザイン
5.26
掛け算の遊び
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
こんにちは。テクニカルディレクターの堂田です。
今作では、とにかく“いろんなことができる”が目標でしたが、それを達成するため、ひとつひとつを単体で完結させるのではなく、それぞれを掛け算することで、より幅広いゲーム作りにつなげていきました。その中からプログラマーが生み出したアイディアをいくつかご紹介します。
たとえば「壁のぼり」。代表的なアクションということもあり、これを用いたさまざまな掛け算の提案がありました。
↑こちらは「動くものにも登れた方が楽しいはず!」という担当プログラマーの声がきっかけでした。「壁のぼり」×「動くオブジェクト(風車)」の掛け算です。開発当初から組み込まれていたアイディアでしたが、他のスタッフはなかなか気づいてくれませんでした(笑)。
ここに目をつけた敵担当プランナーとのコラボレーションで生まれたのが「壁のぼり」×「戦闘(敵・イワロック)」の掛け算です。
「壁のぼり」だけでなく、ほかにもたくさんの掛け算があります。
このオクタ風船も、とあるプログラマーが実験的に作っていたものをお披露目して生まれました。「え? そんなことして大丈夫?」と、スタッフみんながざわついたアイディアです。「オブジェクト(オクタ風船)」×「オブジェクト(タル)」の掛け算ですね。
さらにここに「壁のぼり」を掛けると……?
アクション、オブジェクト、フィールド、ゲーム内のすべての要素を掛け算で組み合わせることで“いろんなことができる”ゲームプレイにつながったのではないかと思います。
みなさんがプレイする際もまたしかり。掛け算を意識することで、新たな攻略法を見つけられるかもしれません。
堂田 卓宏
テクニカルディレクター
5.19
ハイラル建物探訪
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
町や建築物のデザインを担当した竹原です。こんにちは。
ハイラルの世界では多種多様な人々が暮らしています。
環境や性格によって生活スタイルもさまざまで、家のインテリアも人それぞれです。
たとえば女性陣の家にはこんな特徴があります。
この他にも、あちこちの家の中にある日記には、普段はうかがい知ることのできない住人の思いやゲームのヒントが綴られています。冒険が一段落した方は、ハイラルの家々をめぐって、この日記をチェックしてみてはいかがでしょうか。
また、ふかーく考察すると、人間関係が見えてくることもあります。
かつて夫婦だったカカリコ村のボガードさんとセローラさん。今は別々に暮らしているようですが、とある共通点が……ちょっと見比べてみましょう。
お気づきでしょうか? 実は、この2人の家にだけ彼岸花が飾ってあるのです。
彼岸花の花言葉は意外なものだったりします。
それにしても不器用なお2人ですね。いつかまた一緒に暮らす日が来るのでしょうか。
竹原 学
リードアーティスト
5.12
地図で新しい発見。
ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
フィールドデザイン担当の米津です。こんにちは。
シーカーストーンには地図の機能があり、マップ塔を起動して地図を入手すれば、ズームイン/ズームアウトで世界中の場所を見ることができます。
みなさんはこの「ズーム」使っていますか?
地図を最大まで拡大してよーく見ると、怪しげなポイントに気がつくことも。
そういった場所に実際行ってみることで新しい発見に出会えるかもしれません。今回はその一部を紹介しますね。
・とあるキッチン用品?
・目を凝らすと……。
・あやしいカタマリ
広大なハイラルを馬に乗って駆け巡るのもよいですが、ときには目をこらして地図を見ることで、冒険のヒントが見つかることもあるかもしれません。気になる場所がないか、ぜひズームで覗いてみてください。
ちなみに、滝澤アートディレクターの真似をして私からもちょっと珍しいスポットを。この場所、どこかわかります?
米津 真
シニアリードアーティスト