あざやかに復活した『ポケットモンスター 金・銀』! 数々の名場面や今だからこそ語れる話が満載! 時を経ても新鮮な「面白さ」の本質に迫る![Vol.6]

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こんにちは。ポケモン公式ガイドブック著者の元宮秀介です。
ポケットモンスター、縮めてポケモン。ポケモンは「ふしぎな生き物」と呼ばれています。
では、どんなところが不思議なのでしょうか。今回は、『ポケットモンスター 金・銀』の登場人物たちのセリフを題材にして、ポケモンとはどんな生き物なのかを改めて考えていきたい、と思います。

ポケモンは人間のパートナー

ワカバタウンでポケモンをもらう時に、ウツギ博士が語ります。

「じっくり かんがえて きめると いいよ だいじな パートナー だからね」

「ポケモンは人間の大事なパートナーである」という言葉は、今でこそ耳になじんでいますが、『ポケモン 金・銀』が発売された1999年当時はまだまだ斬新でした。
『ポケットモンスター』が登場する以前、基本的にモンスターは、人間と敵対するもの、人間の生活をおびやかす存在でした。しかし、そんなモンスターを「大事なパートナー」と呼び、自分の仲間にしたのが、「ポケモン」なのでした。モンスターの定義を変えてしまったのですから、『ポケットモンスター』シリーズがいかに革新的なゲームだったのかがわかります。

ポケモンの新たな生態が続々と明らかになる

ワカバタウンの民家にいる女性が語ります。

「ピカチュウは すでに しんかした ポケモンである! あの ウツギはかせの はっぴょうには わたしも びっくり しちゃった!」

『ポケットモンスター』シリーズは、新たな作品が発売されるたびに、ポケモンの新たな生態が明らかにされていきます。その仕組みを表したのが、まさにこのセリフなのです。
『ポケモン 金・銀』では、ポケモンのタマゴが発見され、ピカチュウの進化前のピチューや、ピッピの進化前のピィといった可愛らしいポケモンたちがたくさん登場し、大きな注目を集めました。
『ポケットモンスター サン・ムーン』(2016年)では、リージョンフォームやウルトラビーストといった新しいカテゴリーのポケモンが登場しました。これから発売される『ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン』では、一体どんなポケモンと巡り会えるのでしょうか。

ポケモンへの愛情とポケモンからの優しさ

ポケモンには人間の心が伝わります。
ヨシノシティで出会ったおじいさんが語ります。

「やさしさを もって ポケモンに せっして やるのじゃ!」

おじいさんのセリフから、ポケモンが人間の心を理解する高い知能を備えている生き物であることがわかります。『ポケモン 金・銀』では、それが「なつき具合」という仕組みで表現されました。ポケモンを「てもち」に加えて一緒に冒険へ連れて行ったり、レベルアップさせたりして、ポケモンを喜ばせると、「なつき具合」が上がります。逆に、「ひんし」状態にしてしまったり、苦いかんぽうやくを飲ませたりすると、「なつき具合」は下がってしまいます。ポケモンに接する時は、親しい友だちと同じように優しく接すること。ポケモントレーナーの心得の基本中の基本といえます。

タマムシマンションにいるおばあさんがこんな話をしてくれます。

「ポケモンに かこまれてると ひとり ぐらしも …… さびしく ないよ …… うちの ニャースは …… たまに おかね ひろって くるの」

きっとおばあさんは若い頃から歳を重ねた現在まで、ポケモンに優しく接してきたのでしょう。現在ではポケモンに囲まれて暮らし、ニャースはお金をひろってきてくれます。おばあさんの愛情はポケモンたちに伝わり、ポケモンたちは恩返しをしているのです。

トレーナーの腕前の見極める

キキョウシティのポケモンセンターにいる少年が言います。

「ポケモンは あたまが いいからね そんけい できる トレーナーの いうことじゃないと きかないよ ジムバッジを もっていないと めいれい きかずに すきかってするよ」

少年は、ポケモンの通信交換のことを語っています。ポケモンは、トレーナー同士で、通信交換することができます。交換したポケモンは、「てもち」に加えて一緒に冒険することができますが、そこにはいくつかのルールがあります。
少年の言う「尊敬できるトレーナー」とは、ポケモンジムに挑戦し、勝利の証となるジムバッジをたくさん持っているトレーナーのことです。通信交換されてきたポケモンは、そのトレーナーの実力を見極めようとします。獲得済みのジムバッジの数から察知しているのでしょう。通信交換でやってきたポケモンは、ジムバッジの数が少ないと、トレーナーのいうことを聞かないことが多いのです。「厳しいなあ……」と嘆くなら、ポケモンに認められるように、ジムへの挑戦をがんばりましょう!

ポケモンの忠誠心

コガネ百貨店で出会った男性は、こんなことを語ってくれます。

「ひとから もらった ポケモンは なまえを かえることは できないよ なまえを つけた ひとの きもちが こめられているからね」

ポケモンは自分の「おや」となったトレーナーへ、高い忠誠心を抱くようです。通信交換で他のトレーナーのもとへ送られた場合でも、最初の「おや」からもらったニックネームは変えることができないのです。ニックネームを占う姓名判断師もお手上げです。立派な忠誠心だ、と僕は感心します。

大切なものは自分のポケモンへの信頼

『ポケモン 金・銀』の冒頭で、ポケモン研究所からポケモンを盗み出したライバルは、主人公にたびたびポケモン勝負を挑んできます。
ライバルが負けた時の捨てゼリフに注目していきます。

「…… オレは よわい やつが だいっきらい なんだよ ポケモン だろうが トレーナー だろうが…… 」

……弱いポケモンが大嫌いですって!? それは君の愛情や努力が足りないからじゃないのか! 説教したくなるようなひどい言い草です。

ライバルの捨てゼリフには、こんなものもあります。

「…… くっ わからない あの ワタルって やつが いうように オレには ポケモンへの あいじょうが…… しんらいが…… たりないから かてない ってのか なんのことだか わかんない」

これは重要なセリフです。ライバルがいう「わからない」という言葉には、「重要なことがあることには気づいている。しかし、今の自分には理解できない、ということだけしかわからない」という意味が込められています。ライバルは主人公とのポケモン勝負を重ねて、次第に成長してきたのでしょうか?

ライバルはおつきみやまで、主人公と大勝負を行います。ライバルの「てもち」のポケモンたちはこれまでで一番強くなっています。しかし、主人公には勝てません。
負けたライバルは、いつものように捨てゼリフを吐くのかと思いきや、おや?

「…… …… …… …… たしかに オレの まけだ それは みとめるよ だけど これで おわり じゃない いつか さいきょうの ポケモントレーナーに なってみせる …… こいつらも オレに ついてきて くれるからな」

ライバルが放っていた邪気が消え、ポケモンを信頼する心が芽生えています! 「こいつらも オレに ついてきて くれるからな」なんて、以前のライバルの身勝手な行動からは想像できない言葉です! きっとポケモンたちからさまざまなことを学び、ポケモンを信じる心が生まれたのでしょう。
ライバルのセリフを追いかけることで、ポケモントレーナーにとって一番大切なものは、自分のポケモンへの信頼だ、ということがわかりました。

弱いポケモンもいつかは強くなる

ヨシノシティのフレンドリィショップで出会ったおばあさんは、さりげなく重要なセリフを話します。

「つかまえた ばかりじゃ よわい ポケモンでも そだてりゃ いつかは つよくなりますよ だいじ なのは ポケモンへの あいじょう だと おもいます」

このセリフこそ、この原稿のテーマである、ポケモンの「こころ」を表しています。
ポケモンは人間の心を敏感に感じ取る生き物です。深い愛情を注げば、お返しをしてくれます。弱いポケモンでも戦闘に何度も出して、レベルアップさせたり、進化をさせたりすれば、必ず強くなります。ポケモンは絶対に、人間を裏切ることはありません。

見た目で「このポケモンは弱いだろうなあ……」と判断して、そのポケモンを「てもち」に加えて戦闘に出してみたら、強く成長して驚かされたこと。そんな経験はありませんか? 僕には何度もあります。

ポケモントレーナーになる。
それはすなわち、ポケモンと「こころ」を交わすことだ、と僕は思います。

『ポケットモンスター 金・銀』をさまざまな角度から振り返る当連載はいかがでしたでしょうか。ニンテンドー3DSバーチャルコンソール『ポケモン 金・銀』をより深く理解する一助になれたとしたら、筆者として幸せに思います。

それでは次回!最終回でお会いしましょう!

[Vol.5]のマニアッククイズの答え
【クイズ1】きんのたま
【クイズ2】グリーン
【クイズ3】ポッポ

©1995,1999 Nintendo/Creatures inc./GAME FREAK inc.
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