オヤ・マー博士の研究日誌

  • XXX-001 偶然の産物
  • XXX-002 “グー”の特性
  • XXX-003 グーイージの誕生
  • XXX-004 懐かしのあの屋敷
  • XXX-005 新たな能力
  • XXX-006 グーイージの弱点
  • XXX-007 グーイージの完成

XXX-006:グーイージの弱点

“グーイージ”くんにスペシャルな能力を与えることに成功したわしは、“グーイージ”くんをさらにパーフェクトな存在にするため、弱点の改善を試みる研究を始めた。 弱点とはすなわち、 「水に溶ける」「炎で溶ける」という点じゃ。
まず試しに、分子結合が緩くなっている素材を使って、 ほとんど液体状のグーを作ってみた。液体に近い状態なら火を消してしまえるんじゃないかと思ったのじゃが……そうは上手くいかんかった。液体に近づけたところでグーとしての性質に違いはなく、炎に触れるとすぐに溶けてしまった。
次に分子が強固に結合している素材を使ってみることにしたのじゃが……なんとハプニング発生じゃ!グーに素材を混ぜ合わせて変化させているとき、オバ犬のやつが急にじゃれついてきて、その拍子にわしは素材を混ぜたグーを頭からかぶってしまったのじゃ!そして胸の辺りにまで付着したグーはそのまま変化してカチコチに固まり始めたではないか!わしの目や鼻にかかったグーは徐々に固まっていき、ついには口に張り付いたグーが固まり始めて息ができなくなってしまった!!すぐに引きはがそうとしたが、カチコチに張り付いたグーは、叩いたりひっぱったりしてもまったくはがれない!
「このままでは窒息してしまう!」と命の危険を感じたわしは、すぐに部屋から飛び出したのじゃが、だんだんとわしの意識は朦朧としていき……
気が付くとわしは、シャワールームで倒れておった。よく覚えておらんのじゃが、どうやらなんとかそこまでたどり着いて、シャワーの水でグーを溶かして助かったようじゃ。今回ばかりはさすがに肝を冷やしたわい。 まさに九死に一生を得たのじゃ。
その後、わしは引き続き弱点改善の実験を何百回と試みてみたのじゃが、まったく改善の兆しが見えん……。どうやらオバケエネルギーをグーに変化させる過程において、原理的にどうしてもこの弱点が生まれてしまうようだということがわかったのじゃ。さすがのわしも、残念じゃが弱点の改善はあきらめざるを得ない。なんとも悔しい結果じゃが、そういうときもあるのじゃ。
じゃが、転んでもただでは起き上がらないのがわしの良いところじゃな。今回いろいろな固さのグーを作ってみたことで、“グーイージ”くんの粘度を、よりナイスな状態にもっていくことに成功したのじゃよ!すり抜け能力が売りの“グーイージ”くんじゃが、排水口なんかに簡単に落ちてしまうと困るので、すぐにはすり抜けず、“グーイージ”くんが力を込めるとすり抜け始める、というぐらいの粘度に調整してみたのじゃ!
この粘度であれば、例えば引き出しを開けるような、それほど力を込めずに済む動作なら“グーイージ”くんでもできるようになるぞい!ただし、ドアノブを回したりするような力を込める必要がある動作は、手がすり抜けてしまうので無理じゃがの。
さて、ここで記録として、“グーイージ”くんの弱点をあらためてまとめておくことにしよう。
弱点1:「水や炎に触れると溶ける。」水に直接触れると溶けてしまうが、水蒸気が満ちた空間に入るぐらいならば問題ないようじゃな。
弱点2:「強い衝撃を与えると形が保てなくなって消滅してしまう。」ある程度の衝撃には耐えられるが、しかし続けざまに衝撃を受けると、さすがに消滅してしまうぞい。
弱点3:「ドアノブは回せない。」引き出しや宝箱といった、軽い力で開けられるものなら大丈夫じゃ。
あやうくあの世へ旅立つ寸前でなんとか助かったものの、今回は大きな疲労感に襲われたわしじゃったが、次の実験に思いを巡らせつつ、「ルノマングリーニーコーヒー」の香りに癒されることにしたのじゃ。