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Nintendo Switch

INTERVIEW

今までのお話を聞いていると・・・「段ボールで作ろう」という話が先にあったわけじゃないんですね。作りやすい素材だから段ボールになっていったと。

はい。
一般的な3Dプリンターでも、設計図を引いてから出てくるまではすごく速いんです。
でも、それでも「作って、すぐ直して、すぐ試す」というサイクルをサクサク回すには足りなかったということです。

そうですね。ただ、この戦車は、とても壊れやすいんです。踏んづけて体重をかけたりするので。だから、このときはまだ「実際につくるとしたら段ボールじゃなくてプラスチックにするのかな」とは思っていましたが。
あとは、この試作だと、Joy-Con(R)が固定されてしまうので、せっかくのジャイロセンサーが使えないんですよね。
だから、箱を床に置くのではなく、背中に持ってくることで、ジャイロセンサーも使えるし、踏んづけないから強度の問題も解決する。そうして作ったのが、この「ロボット」の試作です。

写真01

「ショイコン(背負いコン)」と言っていました。

ジャイロセンサーとIRカメラ両方を使うために、背負う形になったんですね!

で、この「ロボット」の試作を見せてもらったときに・・・「アホやなぁ」と(笑)。まず、見た目の圧がすごい。

(笑)

さらに、手足を全部動かすコントローラーなんてものは、少なくとも家庭用ではあまり見たことがないし、仕組みもいい意味でぶっ飛んでる(笑)。
「これはどうにか商品にしたいな」とは思ったんですけど、アタッチメントとして作るとなると、たくさんハードルがありそうで、「どうしようか・・・」という話になって。

面白そうなものができたのはいいんですけど、「これ・・・本当に売ります?」って話になったんですよね。
ここが『Labo』の開発の大事な局面で、次の段階へ進むきっかけは、僕が覚えている限りだと、2つありました。
1つは、河本さんと「この“作る感じ”含めて、何か商品にできひんかなぁ」という話をしたのと、もう1つは・・・すっごく面白くない試作ができたんですよ。

どんな試作だったんですか・・・?

これです。

写真02

この「オルゴール」っていうヤツが・・・全然、面白くない。
これ、理髪店のカンバンみたいに、筒に斜めにシールを貼っていて、クルクル回すんです。
理髪店のカンバンって、回転運動が縦に移動しているように変換されるんですけど、カメラでその移動を読みとれば回転速度をBGMの再生速度に変換できる。
仕組み自体は割と面白いなぁと思って、僕らはちょっとテンション上がってたんですけど・・・。
「でもこれ、いざお客さんに遊んでもらうことを考えたら、どうなんやろ?」と。
そのときは、(外からは仕組みが見えない)ブラックボックス化されたアタッチメントを用意するイメージだったんですけど、Joy-Conに何か、クルクルしたヤツをつけて、それで音が鳴って・・・。「これ、おもろいんか?」って思ってしまったんですよね(笑)。

結果だけ見たら・・・あんまり面白くなかったんです。

「オルゴール」は、「構造が見えていること」と、それを「自分たちが思いついた」っていうところが楽しいのであって、それはこのままではお客さんには届かない部分なんです。だから「こういう風になったらあかんのやな」って、「あかんポイント」がわかったんですよ。
それを踏まえて、どうやって製品化するのか?って考えたときに、「段ボールで、自分で作る」ってことにしたら・・・「弱点を強みにできる」と考えたんです。

ここで「自分で作る」という部分もひっくるめて考えるようになったんですね。

そうなんです。材質も、段ボールなら自分で組み立てることができるし、直すこともできる。作り変えることもできるし、自在だなと。なにより仕組みが「わかる」喜びがうまれる。
この考えかたは、Toy-Conガレージの発想のもとにもなっています。

『Nintendo Labo』のロゴは「右下にスキマのあいたハコ」なんですが、これは、さっきも言った「ブラックボックスではない」ことや、「案内はしっかりあるけど、そこから広がりがあるよ!」ってことをイメージしています。