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Nintendo Switch

INTERVIEW

小笠原さん、ハード側のお話をお訊きしたいのですが、ハードメンバーが合流するまでは、どういった経緯があったのでしょうか?

ソフトメンバーとの合流は、先ほどの「ショイコン(背負いコン)」を見せてもらったあたりになると思いますが、そこまでの経緯としては・・・前回のインタビューでお話ししたと思いますが、私はもともとIRカメラを担当していました。

はい、Joy-ConにIRカメラを搭載することを河本さんに提案していたんですよね。

そうです。その過程で、ハード部門としても「IRカメラを使って何ができるか?」ということを独自に考えて、試作したりしていました。河本さんや阪口さんたちの部署で実施された「試作まつり」とはまったく別軸の、ハード部門の話なんですけど。

こちらでも試作まつりが!?

私たちは、使いかたの研究というような言いかたをしていました。さまざまな試作を行っていましたが、その試作のひとつに、「光学アタッチメント」というものがありました。こういったものなんですけど。

写真01

この奥のところにマーカーとして再帰性反射材シールが貼られています。IRカメラにはIRの光を出すライトもついており、その光が再帰性反射材シールによって跳ね返り、IRカメラでその動きを認識します。そうすると、アタッチメント側には「電子部品無し」にマーカーの動き、たとえば回転が取れる・・・という技術です。

カメラでマーカーの回転を認識・・・。先ほどの話に似ていますね。

そう、それで実際にそのときに作ったのが、この・・・

写真02

「つりざお」ですか!

そうなんです。『Nintendo Labo』の「つりざお」の仕組みとはまったく別のものなんですけどね。

あとは、こんなものも作っていました。先ほどの「光学アタッチメント」を応用することで、こういったものもできるんじゃないか・・・と考えて試作したものです。

写真03

これって・・・段ボール、ですよね?

そうです。大きいコントローラーを段ボールで作りました。「デカコン」と呼んでいました。仕組みは簡単で、このボタンを押すことで再帰性反射材シールが上下に動きます。その動きをIRカメラで読み取るようになっています。

これは「つくる」を意識して設計した最初のコントローラーだと思います。
「ハードの魅力をお客さんに味わってもらいたい」という想いがずっとありました。それってどういうことだろう・・・とチームメンバーで考えたときに、「ハードをつくる」という魅力もきっとあるはずだと。それで、「つくる」を実現する手段として、段ボールを使うというアイデアがでてきました。

すごいですね! まったく別のところで同じようなものを描いていたってことなんですよね!?

後から知ったことなのですが、たまたま考えていたということなんです。

阪口さんは阪口さんで、「2つのセンサーのかたまり」というキーワードで、小笠原さんは小笠原さんで、「光学アタッチメント」というキーワードで・・・。不思議ですね。
でも、お互いまったく知らずに動いていたんですよね。ここからどうやって合流したのでしょうか?

ハード試作の協力をしてくれる人を探していて小笠原さんたちを紹介してもらって、最初の「鼻ほじコン」とかの話をしたんです。

それが、阪口さんたちの「試作まつり」のときですね。

そうですね。そこで、私たちのチームも先ほどのような試作をしていたので、阪口さんチームのハードづくりのお手伝いをするということになったんです。
それで、そのときに「ロボット」を見せてもらったんですけど、これは正直驚かされました。
私たちが考えていたところの「光学アタッチメント」を、めちゃめちゃうまく使って、なおかつすごく面白いソフトを仕上げてくれたと思ったんです。

ここが「運命の出会い」だったわけですね!

まさに、そうだったと思いますね。私たちも、たしかに同じような試作を別軸で作ってはいたんですけど、これらの試作だけで製品化までいけたとは思っていません。ただ、阪口さんに最適なタイミングで「IRカメラ」、そしてIRカメラを活用した「光学アタッチメント」という技術・材料をしっかり提供できたことは、その後の『Nintendo Labo』開発の貢献につながったと思っています。

仮に『Nintendo Labo』を料理にたとえると、小笠原さんのチームが新しい材料をつくり、阪口さんのチームがそれを新しい発想で面白く調理・盛り付けをして、これまでにないメニューができた・・・と思っています。